日本の長期雇用システム
厚生労働省(MHLW)によれば、日本の労働者の平均雇用期間は11.9年とのことです。しかし、様々な要素で変わってくるものであり、中でも最も重要なのは、労働者、経営者双方の能力です。
また、男性と女性を比較すると、男性の方が同じ会社に居続ける傾向にあります。一方、最近の研究によると、長期的に労働力が不足しているにもかかわらず、日本の長期雇用システムの恩恵はどんどん受けにくいものになっています。
本記事では、日本の長期雇用システムについて、より詳しく分析し、理解を深めていきましょう。
長い雇用期間の背景
なぜ日本の社員は他国に比べ長期間同じ会社で働く傾向にあるのだろうと疑問を抱いたことはありませんか。理由の一つは会社内で確立している仕組みにあるようです。会社は基準となる枠組みに従い社員に長期にわたり生計を保障し、彼らのスキル向上を望んでいます。
このため、若い中途社員や新卒社員を採用します。新卒学生を積極的に採用する傾向は、大企業ほどそれが顕著です。
年齢と勤続年数が増えるのに合わせて、賃金も増える年功序列について考えてみると、長期にわたる労働者の能力開発、やる気、社員間の競争などが反映したものであることに気づきます。
新卒学生は会社で働いた経験が無いため、新人を採用する際は、主に学生の持つポテンシャルに目を向けます。スキルは時間をかけて伸ばすものと考えているのです。会社は新卒社員を多く採用し、スキル向上のために研修の機会やさまざまな教育を提供するために投資するので、長い間働いてもらうことで投資した分を取り戻せるのです。
さらに、社員が長期間同じ職に留まるようにする動機づけについて、会社側は給与以外にも有利な社員の忠誠心を高めることに努力しています。
長期雇用システムの変容
多くの会社(80%弱)が長期雇用を採用していると言っても、年功賃金システムにはいくぶん違いが見られます。スキル開発がこれ以上望めない社員にまで超高額な賃金を支払い続けることで、多くの会社が危険な状態にあると指摘する人もいます。
この問題は1970年代後半から顕著に見られるようになりました。日本企業、特に大企業で、中高年労働者の賃金が問題として取り上げられるようになったのです。このため、出向が広く行われるようになりました。社員が元の会社に在籍したまま、他の会社に異動するというものです。